オンライン診療・オンライン服薬指導の実証実験が進行中
一般社団法人仙台市医師会 会長
医療法人ライヴズ 理事長
あんどうクリニック 院長
安藤 健二郎さん
株式会社メディカルコスモ
リフレ薬局グループ
業務課 課長
薬剤師
織田 修司さん
仙台市が国家戦略特区であることをきっかけに、仙台市、仙台市医師会、仙台市薬剤師会の3 者共同により、診療から服薬指導までをオンラインで行う「オンライン医療」の実証実験を実施しています(期間:2020 年7月13日~2021 年3月31日)。全国でも画期的な取り組みであるこの実証実験のデモンストレーションが、去る8月18日、あんどうクリニック(太白区)および同クリニックに隣接するリフレ薬局で公開されました。デモを行った同クリニック院長安藤健二郎さん、およびリフレ薬局薬剤師織田修司さんに、これまでに感じた課題や工夫している点などを伺いました。
視診に加え、聴診の工夫も
オンライン診療は、スマートフォンなどの専用アプリを利用して事前に予約を入れ、患者と医師の間でお互いが映るビデオ画面を見ながら、問診を中心に診療を行います。現在は、新型コロナウイルス感染対策としても注目度が高まっています。
「患者さんの通院や待ち時間の負担がなくなりますし、院内感染の防止や医師不足の解消策としても期待されています」と安藤先生。メリットを挙げる一方で、課題も指摘します。
「診療の基本はあくまでも対面診療であり、これを超える診療はないと考えています。画面だけで診る診療は得られる情報も限られ、医者側にとっては情報不足、患者さん側も『ビデオ画面だけで人の健康が分かるものだろうか』といった不安を感じている人がいるのも確かです」。何度も診療を重ね、両者間に信頼関係が築かれていること、さらに病状が安定した経過の方なら、問題なくオンライン診療ができるのではないかとも話します。
安藤先生は、1、2年前から聴診の情報をオンラインで得る方法を研究し、心音や呼吸音などの生体音を聞くことができる聴診器を試行錯誤の末に自作。今回の実証実験の中で使用し、オンライン診療の可能性を探っています。現在、東北大学のサポートを受けて製品化を進めています。
「オンライン」の利点を活かして
続いてオンライン服薬指導の様子も公開されました。事前に予約を入れた患者に対して、医療機関から送付された処方箋に従って準備した薬の内容や飲み方、副作用などが説明されました。薬は原則当日中に配送の手配が行われ、薬の到着は薬局が電話で確認することになっています。
「声を張る、はっきり話す、ジェスチャーをまじえるなど、分かりやすく伝えることを意識しています。オンラインでは1対1なのでプライバシーが守られ、患者さんは相談しやすく、薬剤師も質問しやすくなるのではないかと思っています」と薬剤師の織田さん。オンラインは、話しやすい環境づくりに適していると話します。
実証実験では、アンケートによって課題の洗い出しが行われます。「この実証実験にたずさわったメンバーで、どのようなオンライン診療を行うべきかを探り、それを大事に育てていきたい。一歩一歩着実に、確実にいきたいですね」と安藤先生。
始まったばかりの診療システムを、仙台市民の暮らしになじむものにするために、さまざまな工夫が盛り込まれた実証実験が続けられます。
あんどうクリニック、リフレ薬局四郎丸店
- 所在地
- 仙台市太白区四郎丸字吹上28-38
(注意:上記記事内容は2020年8月に取材した当時のものです。)